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昨今、英語の需要はどんどんと高まっています。
下の記事をご覧ください↓↓↓
英語を話せることの価値は日増しに強くなっています。
それに呼応するかのように、様々な教材、サービス、情報も溢れています。
その結果、「英語迷子」になる方も増えているように感じます。
日本人で英語が話せる人は限られています。
さらに言えば英語が話せるようになるメカニズムが分かっている人はもっと限られています。
「私はこの学習方法で成功しました!」という個人の経験談はとても貴重な情報の一つです。
しかし、他人の成功法則が自分にも当てはまるかどうかは分かりません。
「一日10時間勉強しました!」
「海外留学に行きました!」
「外人の恋人を作りました!」
と真似すること自体が大変な方法論も存在します。
「そういう特殊な状況下でないと、英語は習得できないんだ」
と諦めてしまう人もいるようです。
これは非常に残念なことです。
私は、英語によって自分に自信を持つことができ、新たな挑戦をいくつも後押しされてきました。
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・売れないバンドマンから英語の教師になれた
・文科省指定の英語教育推進教師として講座を開催できた
・英検1級、TOEIC945を達成することができた
・教師を退職して、英語コーチとして独立できた
・アメリカの大学院に入学し、最先端の教育を学ぶことができた
・地元で英語教室を開くことができた
・市から親子英語教室を委託された
————————————————-
こうして英語の先にある理想とする人生へと挑戦できているのは、スピーキング習得までの流れを知っていて、それに沿った学習を組んでいるからだと思います。
ところが、多くの人にとって
「どのように英語を話せるようになるのか」
というのは未知の領域です。
英語が理想の人生へと私たちを導いてくれるポテンシャルを持っているのを知っているからこそ「英語の先にあるゴール」を目指す手前で躓いてしまっている方々のお役に立ちたいと、教員を退職してからの1年間、無償でいろんな活動をしてきました。
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・オンラインで50名以上に個別英語学習相談
・フリースクールで英語のレッスン
・地元の中学生に英語コーチング
・親子英語教室講師
・100名以上が出席した英語学習講座
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様々な学習者の方々のお悩みに答えるために、毎回全力で資料を作成し、目の前の方のスピーキング力を上げるために注力してきた結果、ありがたいことに多くのお喜びの声をいただけるようになりました。










こうした感想をいただくたびに、私が今までに学んできたスピーキング習得の過程というのは、誰かの役に立つことなのかもしれないという思いが強まっていきました。
ともに英語を学んできた受講生の方々は、
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・4ヶ月で学校の英語のテストが20点台から60点台に上がった
・2ヶ月で英検準一級に合格した
・2ヶ月でTOEIC600点から715点に伸びた
・3年間達成できなかった900点台を2ヶ月で突破
・1ヶ月でカナダで希望の職種の面接に合格
・3ヶ月の学習ののち、英語に自信がつきアイルランドへ留学
・苦手なスピーキングが3ヶ月で2時間以上海外の人と話せるようになった
————————————————-
などなどの成果を出すことができたとご報告いただいています。
以下は受講生の方のご好意によりいただいたご報告の一部です。








こうした成果のご報告をいただくことで、私が自分自身でも実践してきた第二言語習得理論を基盤とした英語の学習法や学習理論というのが、私だけでなく他の方々にもしっかりと効果があるという実感が強まりました。
そこで今回は、10年間を費やしてこれまでに私が書籍、研修講座、セミナー、大学院などで学んできた全てを一つの記事にまとめていきたいと思います。
第二言語習得理論、教育理論、脳科学、応用行動学などの見地から英語が習得されるまでの道筋をなるべく分かりやすく書いていこうと思います。
「絶対に英語を話せるようになりたい!でも何をすればいいかサッパリ分からない!」
とお困りの方にはきっと目から鱗の情報も含まれているのではないかと信じています。
それでは、スピーキング完全攻略に向けての第一歩を踏み出しましょう!!
第0章
成功率10%!?なぜ英語学習に失敗してしまうのか?
この章では、なぜ英語学習に失敗してしまうのかについて、3つの側面から考察しています。
「理屈はいいから、早くスピーキング習得のいろはを説明してほしい!」
という方は、こちらの章を読み飛ばしていただき、第1章へお進みください。
————————————————-
日本人の英語力は世界的に見ても非常に低いとされています。
2016年の楽天インサイトが行ったアンケートによると「英語が得意か」という質問に対して「得意」と答えたのは日本人は全体の8.7%だったそうです。
つまり、10人に1人の割合でしか、英語が得意だと感じていないということです。
日本では義務教育で英語を学習することになっているので、その成功率は10%に満たないと言い換えられますね。
また、同年の講談社の調査によると、
「英語を聞くことも話すことも問題なくできる」
と回答した人は、2.5%に留まったそうです。
留学や海外生活の経験がなく、日本の学校で英語を学んだ人を対象にしたアンケートらしいのですが、この結果だけを見れば、
日本にいる限りは100人中2,3人しか英語を習得することができない
ということになります。
なぜ日本人にとって、英語の学習はこんなにも難しいのでしょうか?
①言語的な距離感の遠さ
世界には7,000近い言語があるとされています。
それを横一列に近い順番に並べていくと、日本語と英語は端と端に位置するくらい離れているそうです。
したがって、日本人にとって英語の習得が難しいのと同じくらい英語圏の人にとって日本語の習得は難しいということですね。
『INSIDER』は2017年に、英語を母国語とする人にとって学習が最も難しい言語マップを公表しました。

日本語は英語話者にとって、Category V* (茶色)という最難関の言語として君臨しています。
だから日本人が英語を話せるようになることというのは実はめちゃくちゃ難しいことなんですね。
なので現時点で英語ができていないからと言って落ち込む必要は全くありません!
そもそもすごく難しいことに挑戦をしているのですから!
そして、そんな難しい挑戦だからこそ、しっかりと英語習得のための言語学的な側面から見た分析と学習戦略が必要になってくるわけです。
ところが、現在まで日本人に主に採用されてきた学習方法というのは「英語を話す」という目的とはかけ離れたものになっています。
さて、どのように目的と手段がズレてしまっているのでしょうか。
②アウトプットの不足
日本に住んでいれば、英語を使うアウトプットの機会はほとんどありません。
ところが、英語を話せるようになるためにはたくさん話す経験を積む必要があります。
なのに英語を学んできた人の多くが、「話す練習」にほとんど時間を割けていない現状があります。
「英語を話せるようになりたい」と強く願っているのに、です。
泳げるようになりたいと願う人がプールサイドで泳法の本を読んでいても泳げるようにはなれません。
また、料理が上手くなりたいと思っている人がレシピ本を暗記してばかりいては料理の腕はいつまでも磨かれません。
泳げるようになりたければ泳ぐ練習が必要ですし、料理が上手くなりたければ料理を作る練習をしなければいけません。
ただでさえ、言語的な距離が遠く習得が困難なのに、それを練習する機会や環境に恵まれていない。
これだけでも英語の習得を阻害する要因としては大きいのに、これに加えて英語学習法に関しての情報不足も私たちの英語習得をより困難なものにしています。
英語学習では、アウトプットの有無が成否を分けます。
ところが、アウトプットを日々の学習にどのように組み込んでいけばいいのかについて明確な方法論を持っている人は多くありません。
インプット優位の学習は、初期の段階ではとても効果的なのですが、一定の知識が積み重なってきたときに成長が停滞し始めます。
【アウトプットの比率を学習段階に応じて少しずつ上げていく】
スピーキング習得のためには欠かせないバランス感覚です。
③英語を話せるようになるための学習戦略の不足
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1)英語習得の全体像が見えていること
2)現在抱えている問題が明らかであること
3)その問題解決のための適切な手段が取れていること
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この3つが揃えば、英語の力は確実に伸びていきます。
逆を言えば、英語力が伸びずに悩んでいる人のほとんどが、このいずれかの、もしくは全てがうまく満たされていないと言えます。
ところが言語学や第二言語習得理論に通じてでもいない限り、
・英語習得がどのようなプロセスで進んでいくのか
・自分が現在どのような問題を抱えているのか
・数ある問題に対してそれぞれの適切な学習方法は何か
なんて分からないですよね。
「なぜ今の勉強方法を採用したのですか?」
と聞かれても、論理的に根拠を持って答えられる人はほとんどいません。
つまり、「なんとなく」英語学習をしてしまっている人が多いということです。
【今回の記事を読んでいただくことでこの問題は全て解決します!】
10人に1人しか成功しないくらい複雑だと言われている英語学習ですが、
① 目的地が具体的に定まっており
② 全体像を写した地図を手にした状態で
③ 自分の現在地が明らかになっている
という状況であれば、必ず英語は習得することができます。
私自身の経験や私がこれまでに関わってきた受講生の方々の見て、私は強い確信を持っています。
それでは、次の章では①について詳しく見ていきたいと思います!
第1章
継続率・成功率を大きく左右する!
英語学習の第一歩目は〇〇設定!
英語学習を一つの旅だと捉えた時に、目的地を設定せずに旅に出ることはありません。
仮に「どこに辿り着くか」を決めずに出発したとして、その先で待っているのは「迷子になる」か「到着するまでに途方もない時間がかかる」という事態です。
英語学習に話を戻すと、英語学習の第一歩目は必然的に「目標設定」になります。
それも、具体的な目標を設定する必要があります。
行き先が明確であればあるほど、次の行動に移りやすいからです。
例えば、「海外に行きたいな」と思っているAさんと「アメリカに行きたいな」と思っているBさんであれば、Bさんの方が旅行予約サイトで予約するなどの次の行動に移る可能性が高いです。
また、「アメリカに行きたいな」と思っているBさんと「ロサンゼルスに行きたいな」と思っているCさんとを比べたらCさんの方が会社に休暇の申請をするなどの次の行動に移る可能性が高いのです。
そこで、英語学習では「英語を話せるようになりたいな」と願うその気持ちをさらに掘り下げていく必要があります。
では、次の質問に沿って考えながら、少しずつ掘り下げていきましょう。
————————————————-
①英語を話せるようになりたいのはなぜですか?
②英語を話せるようになったら何がしたいですか?
③英語を話せるようになったときの自分は、どんな生活をしていますか?
————————————————-
なるべく5W1Hを意識しながら、具体的に考えて行ってみてください。
例えば、ちょっと前の私なら
————————————————-
①2年以内に(いつ)/
世界の教育者たちと(誰と)/
アメリカの大学院で(どこ)/
自分の時間を確保しながら(どのように)/
最先端の教育を学びたい(なぜ)/
と思ったから。
②2年以内に(いつ)/
世界中の人たちと(誰と)/
オンラインで繋がりながら(どのように)/
教育に関わる議論をしたい(何を)。
③自分で自分の予定を決めながら(どのように)/
好きな時間に(いつ)/
教育のことを学んだり英語で議論したりしながら(どのように)/
どんな場所でも英語を教えることができる環境で(どこ)/
家族との時間も大切に(何を)/
毎日笑顔で生活している。
————————————————-
みたいな感じで組んでいきます。
これでもまだ深掘りできる余地はありますが、とりあえずは例として。
いかがですか?
自分の理想の未来が具体的に像を結んできたでしょうか?
この目標設定の解像度が低いと、英語学習は継続しにくくなります。
人は「なんのために」という明確な動機がないと、学習へと突き動かされにくいからです。
ただし、現時点ではまだまだ解像度の高さは十分とは言えません。
ここからさらに具体的にしていくために、目標を数値に置き換えて行ってみましょう。
①到達したいレベル
まずは、下の表をご覧ください。

これはCEFRと呼ばれる世界で広く採用されている英語力の指標です。
ビギナーレベルのA1からネイティブレベルのC2まで6つの段階に分かれており、それぞれのレベルで「英語でどのようなことができるか」が明示されています。
これを読みながら
『6つのレベルのうち自分が目指したい理想のレベルはどこか』
『いつまでにそのレベルに達したいか』
この2つを考えてみてください。
いまいちイメージが掴みにくいという方は各種試験と照らし合わせた対照表を確認してみてください。

さて、いかがでしょうか。
これでもイメージが掴みにくいという方はいくつかのレベルごとのスピーキングテスト風景を載せておきますので、そのテストを受けている受講生の方々の様子から、ご自身の理想を見定めてみてください。
[B1]
[B2]
[C1]
ここまで来れば、ご自身の到達したい理想のレベルがA1〜C2の中から見えてくるのではないかと思います!
もう一度確認しますね。
①あなたが目指したいレベルはCEFRのどこですか?
②その目標はいつまでに成し遂げたいですか?
この2つの質問に対して明確な答えが出た方は、次にどれくらいの語彙数を身につければいいのかを見ていきましょう。
②身につけるべき語彙数
理想のレベルに到達するためにはどれくらいの単語を身につければいいのかを確認する前に単語の2つの捉え方を押さえておきます。
それは 【Passive Vocabulary】 と 【Active Vocabulary】 です。
Passive Vocabulary というのは
「理解はできるけど、使うことはできない単語」
のことです。
言い換えれば、「聞いたり読んだりして意味は分かるけど、話したり書いたりする中で使うことはできない単語」のことですね。
それに対して、Active Vocabulary というのは
「理解もできるし、使うこともできる単語」
のことです。
CEFRのそれぞれのレベルでどれくらいのPassive Vocabulary と Active Vocabulary が必要となるのか目安として提示されている数字がありますので紹介します。

ちなみに文法の知識で言えば、一番最初のA1でも中学3年生までの文法を理解している必要がありますし、B2に到達するためにはほぼ全ての文法を理解している必要があります。
どれくらいの単語を学べば良いか、イメージできたでしょうか?
続いて、目標とするレベルに到達するための時間を確認しましょう!
③勉強時間
下の表はヨーロッパ人がCEFRのそれぞれのレベルに到達するために必要な勉強時間を概算したものです。
ヨーロッパの言語は日本語と比較したときにはるかに英語と特徴が似通っています。
英語と全く異なる言語である日本語を話す日本人が英語を習得しようとするとこの表の『2倍』はかかると言われています。

例えば、あなたの目指すレベルがB1であるとすれば、(そしてあなたのレベルがまだA1にも達していないとしたら)あなたは ”700-800時間” を最低でも要することになります。
もしあなたが英語の初心者で
「B1のレベルに1年以内に到達したい!」
と願うのであれば、
(800時間) ÷ (365日) = 2,191…時間
かかるということですから、1年間毎日欠かさず2時間勉強すればその目標は年内に達成される可能性が高いです。
逆に、
「1日に1時間くらいしか英語学習に時間を割けないなあ」
という場合は、目標の方を
「B1のレベルに ”2年” 以内に到達したい!」
と調整する必要があります。
【具体的な目標設定の確認】
ここまで一緒にご自身の目標を立てながら読んでいただけた人は
①どれくらいのレベルに(CEFRで)
②どれくらいの期間で
③どれくらいの単語を覚えながら
④毎日どれくらいの勉強時間で
英語学習に取り組めば目標が達成するのかが明確に見えているはずです。
ところが、です。
問題は、ほぼ全ての日本人がこれまでに合計で800時間程度の学習を中学校、高校の英語の授業の中で積み重ねているという事実です。
宿題やテスト勉強などの家での時間を合わせれば1000時間を超える人もたくさんいます。
本来であれば、より多くの人がB2のレベルに到達していてもおかしくないはずです。
にもかかわらず、A1のレベルにすら到達していない人が圧倒的多数を占めます。
この現状が意味することとはすなわち、
時間をかけても英語の習得には繋がらない学習方法が存在し、
そして圧倒的多数の人がそういう方法を選択している
ということです。
・学校の勉強を頑張ってきたのに、英語が全く話せない!
・TOEICで高得点を取ったのに、話そうとすると英語が出てこない!
・オンライン英会話に申し込んだけど、成長している実感がない!
という経験がある方は、もしかしたら英語の習得には繋がらない学習方法を選択してしまったのかもしれません。
そんな方でももう大丈夫です。
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しかし、『回り道』をする必要もこれっぽっちもありません。
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第2章
学校では教えられない
スピーキング習得までの最短ルート
『英語を話せるようになるまでに、どのような過程がありますか?』
もし、このように聞かれたときにあなたは明確な答えを持っていますか?
もし、あなたが
「単語をいくら覚えても使えるようにならない!」
「文法をいくら練習しても口ごもってしまう!」
「リスニングにいくら取り組んでも、英語が早すぎて理解できない!」
「オンライン英会話をやっても、上達が感じられない!」
「じゃあ、一体何をやればいいんだあああ!!!???」
となっているのであればこの章で、一つの答えをお示しすることができると思います。
まず、結論から言います。
第二言語習得理論の見地から見て、英語の習得には【5つのステップ】があります。
————————————————-
①音声知覚
②意味理解
③概念化
④文章化
⑤音声化
————————————————-
この5つです。

①②はリスニングの力に大きく関わっています。
そして③④⑤はスピーキングの力に大きく関わっています。
それぞれが独立して存在するというよりは、それぞれが相互作用的に絡み合って最終的にスピーキングへと辿り着きます。
そして、それぞれのフェーズにおいて、『知識データベース』なる【知識の貯蔵庫】との連携が発生します。
ここには単語や文法などの知識が詰まっており、主に日本の英語学習で重要視される部分になります。
一つ一つ解説していきます。
【⓪知識データベース】
英語を学ぶ上でどうしても避けて通れないのが単語と文法学習です。
「知っていなければ聞こえない」
「知っていなければ話せない」
この前提の上に立って、まずはインプットにより知識の土台を構築する必要があります。
「中学校で学んだ文法や単語はほぼ全て忘れてしまっている」
「英文を読もうとしても分からない単語や文法ばかりで内容が理解できない」
こういう状態の人は、まず全ての基礎である知識の土台をつくるのが先決です。
ただ、多くの人が陥ってしまう罠として
「知識として知っていればOK」
という学習をしてしまうことが挙げられます。
例えば、単語学習などで英単語の意味は覚えても発音は全く無頓着の人がいたとします。
(そして多くの人がそのように学習をします)
英語を学ぶ目的が、「テストで点を取ること」であれば、そしてそのテストにリスニングがないのであれば、この学習方法でも奏功すると思います。
ところが、英語を話せるようになりたいと願っているのであれば、
「読めば意味は分かるけど、正しい発音は分からない」
という学習方法は選択しないはずです。
また、単語の意味をどれだけの時間で思い出せるのかも実は英語を話せるかどうかに大きく関わってきます。
【①音声知覚】
スピーキング習得に向けた第一歩目は聞こえた音を「英語の単語(文)」として認識するフェーズです。
「英語は読めるけど、リスニングはさっぱり分からない」
「リスニングのあとで英文を読んで自分の知っている単語ばかりで驚くことがある」
こういう自覚症状がある方は、この音声知覚に問題があると考えられます。
ここに大きく関わってくる知識技術は、
『フォニックス』『英音法』
というような、英語の音に関わるルールです。
英語には、「書いてある文字通りには発音されない」という厄介な特徴があります。
文字同士がくっついたり、消えたり、同化したりします。
これらのルールを理解した上で、普段から音の変化を意識してリスニングの力を鍛えていくことで自分が知っている音を流れてくる英語の文脈の中で識別できるようになります。
“Look up.”
という英語を例にとって説明します。
(便宜上、発音をカタカナで表記していきますので、正確な音とはズレが生じます)
一つ一つの単語を練習するときは
「ルック、ルック、ルック…」
「アップ、アップ、アップ…」
と発音します。
ところが、二つの単語がくっついたときに以下のような変化が起こります。
————————————————-
“Look up.”
①/k/ と /u/ がくっついて「カ」という音を生み出す
②/p/ の音は非常に弱く発音されるため「アッ」と音が落ちて聞こえる
————————————————-
そのため、耳に入るときには
「ルカッ」
と聞こえるわけです。
音声知覚が不十分だと、
「ルカ?ルカって単語今までに勉強したかな…新しい単語かな?」
と、知識データベースに ”look” も ”up” も入っている状況でも、そもそも「知っている英語の単語(文)」として認識することができないわけです。
まずは聞こえてくる音を「英語の音」としてキャッチする。
これが音声知覚のフェーズになります。

【②意味理解】
続いて第二歩目は英語の音としてキャッチした単語の意味を理解するフェーズです。
「英単語が断片的に聞こえてはくるが理解が追いつかない」
「短い英文ならなんとか聞き取れるが、長くなった途端に分からなくなる」
このような症状でお困りの方はこの段階に問題を抱えていることが多いです。
意味理解の段階とはすなわち、「ルカッ」という音を ”Look up” という英語の表現だと認識した後でそれがどのような意味かを理解する段階のことです。
ここを超えるためには
『英語をイメージとして理解していくこと』
『英語を英語の語順のままに理解していくこと』
の2つが必要となってきます。
1)英語をイメージとして理解していくこと
まず、1つ目の「英語をイメージとして理解していくこと」とは、単語を「日本語訳」ではなく「一つの絵や情景」として理解することです。
例えば先ほどの “Look up” という表現であれば
Look up → 見上げる
と日本語を介して理解するのではなく、
Look up
と理解していきます。
前者は意味を理解するまでに
英語→日本語訳→意味理解
というプロセスを経ているのに対して後者は
英語→意味理解
と理解に要する手順が一つ少なくなっています。
どちらの方が素早く英語を理解できるのかは明らかです。
お気づきの通り、意味理解のプロセスでは
【どれくらい素早く英文の意味を理解できるか】
という点が重要です。
長文を読むのは自分のペースでできますが、英会話におけるリスニングはそうはいきません。
音は次から次に流れてきて、そして空気中に消えてしまいます。
キャッチした英語を次から次に理解していかなければ、間に合わないわけです。
2)英語を英語の語順のままに理解していくこと
リスニングは、「音」により情報傍受のため、どれくらい素早く次々に英語を理解していけるかという「英語を英語の語順のままに理解していく」ことが重要になってきます。
英語の語順と日本語の語順は大きく異なります。
特に、修飾(ある情報をより詳しく説明すること)に関しては、日本語にはない、「後ろからの修飾(後置修飾)」というものが厄介です。
後置修飾には、
————————————————-
・前置詞を伴う後置修飾
・不定詞を伴う後置修飾
・現在分詞を伴う後置修飾
・過去分詞を伴う後置修飾
・関係代名詞を伴う後置修飾
————————————————-
など色々なパターンがあり、この後置修飾があるために、長文読解などを逐一正確な日本語に訳そうとすると「返り読み」が発生してしまいます。
例えば、
I saw a girl who played tennins in the park.
を理解しようとするときに、
「I saw a girl…who played in the park だから、私は…公園で遊んでいる女の子を…見た、だな!」
と英文の順番をひっくり返しながら日本語訳で理解することを「返り読み」と言います。
これは長文で難解な文章を正解に読み解くときには有効なのですが、リスニングでこれをやってしまうと、考えている間に次の情報が流れてきてしまいます。
そこで、【英語の順番のままに理解していく】という習慣を身につけることが必要です。
I saw / a girl / who played / in the park.
私は見た / 女の子を / (その子は)遊んでいた / 公園で
さらに言えば、これらがイメージで浮かんでくるとなお良いです。
————————————————-
① I saw:自分が何かを見ているイメージ
② a girl : 1人の女の子が浮かんでくる
③ who played : その女の子は遊んでいるイメージ
④ in the park : 遊んでいる場所として公園が思い浮かぶイメージ
————————————————-
こんな感じで、流れてくる英語を次から次に理解することが、意味理解のフェーズを超えるためには必要です。
そもそも、左から右へと流れる情報を、ひっくり返って逆に理解しようとするのはとても不自然ですし、非効率的です。
こういった読み方が全くの無駄とは言いません。
文の構造を明らかにしながら読む「精読」という観点ではとても大切な活動になります。
しかし、「返り読みをしないと英語が理解できない」という事態は英語のスピーキングを目指すのであれば、絶対に避けるべきです。
ここまでが、リスニングに関わるフェーズになります。
音声知覚と意味理解がスムーズにいけば、相手が言っている内容を理解することができます。
そして、ここから「スピーキング」のフェーズに入っていきます。
③概念化
スピーキングの第一歩目は、
【言いたいことを考える】です。
もしあなたが、
「相手が言っていることは分かるけど、パッと答えを返せない!」
ということでお困りなのであれば、こちらの概念化のフェーズを鍛える必要があります。
例えば
What kind of sport are you good at?
と質問されたときに、
「得意なスポーツを質問されているな…野球が得意なんだけど…そもそも私は野球が得意ですって英語でどう答えればいいんだ?」
と詰まってしまい、気まずい沈黙が耐えられずにオンライン英会話をやめてしまったという話を聞いたことがあります。
「野球が得意と言いたい!」
これが概念化です。
ところが、そこに「英語でなんて答えればいいんだ?」という思考が混ざると、途端にコミュニケーションが緩慢になってしまうのはなぜでしょうか。
それは、脳内が「マルチタスク状態」になってしまっているからです。
人間の脳は、二つのことを同時に処理できるようにはできていません。
それなのに、
「自分にとって得意なスポーツはなんだろう?」
「それを英語でどう言えばいいんだろう?」
と二つのことを同時に考えようとするから頭がパニックになってしまうのです。

このフェーズでは純粋に、聞かれた質問である「得意なスポーツ」に思考のスペースを割きたいわけですが、そのためには「英語でどう言えばいいんだろう?」をあまり考えないようにしないといけません。
「そんなことできるの?」と思いませんか?
一問一答に関して言えば、それが可能です。
やることはただ一つ、非常にシンプルです。
それは、「聞かれた質問の言葉を繰り返し使う」です。
What kind of sport are you good at?
この質問に答えるときには、
what kind of soprt / are you good at?
という二つのパートに分けて、
are you good at? という後半の部分を並び替えてそのまま答えの部分に活用します。
ここに思考は入りません。
ただの並び替えなので、慣れてくれば機会的にさっとできるようになります。
すると、What kind of sport の部分に思考を割くことができるので
I am good at … (what kind of sport?)
と答えの文を瞬時に作成することができます。

すなわち、概念化のフェーズでは、疑問文の中に含まれる
「並び替えて答えに活用できる部分を瞬時に答えの文に活用する技術」
を鍛えていく必要があります。
これで、単語さえ知っていれば、
相手の質問にも答えることができるようになります。
ただし、why? how? のように自分自身である程度英文を組み立てなければいけない質問もありますし、そもそも自分から相手に話しかけたいときにはどうすればいいのでしょうか?
これが次のフェーズになります。
④文章化
英語のスピーキングに関してはこの「文章化」のフェーズが肝と言っても過言ではないくらい大切です。
「スピーキングやライティングは苦手」
「一生懸命話しても相手に伝わらないことが多い」
という症状がある人は、このフェーズにいる可能性が高いです。
よく、英語を話せる人は、頭に浮かんでくるよしなしごとを片っ端から英語に直すことができていると思われがちですが、そういったケースは実は稀です。
英語が話すのが上手な人は、そもそも【自分が英語で話せることしか考えていない】のです。
だから英語を文章化するときもスラスラとできるわけですね。
ところが、スピーキングが苦手な人ほど頭の中に浮かんでくる日本語をそのまま英語に直そうと躍起になり、そして苦労しているわけです。
それもそのはず。
私たちの日本語のレベルは、私たちの英語力の遙か上にあります。
日本語の高いレベルで思考した内容を、それよりも劣る英語で表現しようとしたらうまくいかなかったり、表現しきれないのは当然です。
英語が話せる人は、そもそも「自分の英語のレベルに合わせて思考している」のです。

そこで、
「英語を一生懸命頑張って勉強して、少しずつレベルを上げていって日本語のレベルに追いつくように頑張ろう!」
と奮起することは悪いことではないのですが、それには膨大な時間がかかるし、そもそも第二言語や外国語が母語のレベルに追いついたり、追い越したりすることは決してありません。
であれば、英語のレベルを上げるために日々学習に取り組みながらも、日本語のレベルを英語のレベルにまで落としてあげればいいのです。
つまり、
【頭に浮かんでくる日本語を、5歳児に説明するように言い換える】
ということです。
例えば、恋人や友達から何かを急に頼まれたとして、
「そんなのに付き合ってられないわよ!今は猫の手も借りたいくらいなのに!」
という日本語が思いついたとしましょう。
これをそのまま英語にしようとすると、様々な壁にぶつかると思います。
「そんなのって英語でどういうの?」
「付き合うってなんて言えばいいんだ?」
「猫の手を借りるってborrow a cat’s hand でいいの?」
そこで、5歳の子供にも分かるように、つまり自分の英語のレベルにまで落としてこの日本語を言い換えてみてください。
もちろん、答えはいくらでもあるかと思います。
ここではこんな感じでシンプルにしてみましょう。
————————————————-
「そんなのに付き合ってられないわよ!」
→「私は今、時間がないんだよ」
「今は猫の手も借りたいくらいなのに!」
→「私は今、とても忙しいんだよ」
————————————————-
どうですか、一気に英語にしやすくなったと思いませんか?
「私は今、時間がない」
I don’t have time.
「私は今、とても忙しい」
I’m very busy now.
このように、最初は思い浮かぶ日本語を意識的にシンプルに言い換えてみてください。
イメージとしては「5歳児でも分かるように説明してみる」です。
この言い換えが習慣化してくると、そのうち、そもそも英語で話そうとしたときに、英語のレベルで表現できるように思考できるようになっていきます。
英語で思考することは極めて難しいと思いますが、英語のレベルで表現できるように思考することは誰でも身につきます。

⑤音声化
スピーキングの最後のフェーズは音声化です。
ここのフェーズでは、
「思いついた英語を正しい発声方法と発音で話す」
というだけでなく、
「素早く、流暢に話す」
という技術が必要になってきます。
このフェーズでは『繰り返しの練習』が最も大きな効果を挙げます。
スラスラと言えないのは、単純に慣れていないからです。
ある技術が身につくまでには、手順の圧縮化という過程を経る必要があり、そのためには【意識的なアウトプット】と【フィードバック】を必要とします。
発音に関しても、流暢に話す技術にしても、慣れるまで正しい「型」を意識しながら、「変化のある繰り返し」を工夫して創っていく必要があります。
時間と量を重要しながら負荷をかけつつ、毎回自分のパフォーマンスを自分で確認したり、英語のコーチにフィードバックをもらったりして素早くその単語や表現が出てくるまで練習しましょう。
一つの例で言えば、
Good morning!
Thank you!
などのフレーズです。
これらはあまり深く考えずとも、瞬時にポッと出てくるはずです。
覚えた単語やフレーズ、文法を使って、自分の言いたいことがこのレベルで言えるようになるまで、何度も何度も根気強く練習していきましょう!
(最後は根性論ですみません)
山は目標の数だけある
この章の最後に、一つ言っておかなければいけないのはここまでの過程は、自分の設定したレベルに到達するまでの一時的な流れに過ぎないということです。
例えば、あなたの目標が【CEFRのB1】だとしましょう。
その時、あなたが辿るべき5ステップは【CEFRのB1】という山を登るためのものになります。
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まず、B1に必要な文法と単語を学び(知識データベース)
そしてそれらを知覚できるようになったら(音声知覚)
スムーズに意味を取れるようにしていき(意味理解)
それらの使った質問に瞬時に答えられるようになって(概念化)
それらを使って正確に文を生成できるようにしたら(文章化)
それらを使って瞬時に発話できるようにする(音声化)
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というのがあなたの【(1+)5ステップ】になります。
こうしてB1という山を登り切って、次にB2を目指したいと思った時は、またB2という山に登るための「知識データベース」を蓄えるところから始まることになります。
逆を返せば、一度自分の設定した目標を達成する正しい手順を覚えてしまえば、そこからは同じ手順を繰り返すだけになりますので、もう迷うことなく自分の英語の力を伸ばしていくことができるになります。
さて、英語スピーキング習得までの全体図は理解できたでしょうか?
これであなたは目標に到達するまでの地図を手にしたことになります。

そして、ここまでお伝えしてきた症状と、ご自身の症状を照らし合わせれば、現在のフェーズもうっすらと見えてきているのではないでしょうか。
さて、次の章では、それぞれのフェーズをクリアしていくための学習方法を紹介していきたいと思います!
ここまで正しく分析を重ねられていれば、目的と手段がズレることはありません。
今のあなたにとって、最も効果的な学習方法を選択できるはずです!
第3章
スピーキング習得まで一切迷わない!
最速で英語力を伸ばす段階別学習法
この章では、前の章で述べた「現在抱えている症状」から今のフェーズを確認しながら、そのフェーズを乗り越えて次のステップへ進むためにどのような学習方法が有効かをご紹介していこうと思います!
この章を読んでいただければ「現在地」が判明するので、目的地・全体像・現在地の3つが揃います。
今後、英語の学習で迷子になることはなく、スピーキング習得に向けてまっすぐ進んでいくことができます!
ここでは、必要な学習方法を紹介していきますが、具体的な取り組み方や教材は次章で解説します。
まずはご自身がどこのフェーズに該当するかを考え、どんな学習方法が必要なのかを把握してみてください。
それではフェーズごとに見ていきましょう!
⓪知識データベース
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【該当する人の症状】
☑︎中学や高校の文法や単語をほぼ忘れてしまっている
☑︎英文を読もうとしても分からない単語や文法ばかりで進まない など
【tips】
英語学習の土台となるのが基本的な語彙と文法です。
そこで、まずは英語の「コアイメージ」を意識しながら語彙と文法の知識を入れていき、目標とするレベルに必要な単語や文法を習得していきましょう。
【おすすめ学習方法】
・語彙学習
・文法学習(認知文法)
・パターン・プラクティス
・音読(一文単位) など
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※文法学習(認知文法)
英文法や単語の意味を丸暗記するだけでなく、英文法のルールがなぜそう決まっているか、その単語がどのようなイメージを持っているかというコアイメージを理解することで、英語を理解していく学習方法。
※パターンプラクティス
英語の文法を勉強したら、使われている単語を変えたり、肯定文、否定文、疑問文などパターンを変えながら一つの文法の習得を深めていくための練習。

①音声知覚
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【該当する人の症状】
☑︎英文は読めるが、音になると聞き取れない
☑︎聞き取れなかった音声スクリプトを読むと、自分の知っている単語で驚くことがある など
【tips】
「音になると聞き取れない」主な原因は音声の中から単語を認識する処理ができていないためです。
そこで「フォニックス」や「音声変化のルール」を理解し、声に出しながらトレーニングすることで、英語の「音声知覚ができる」状態を目指します。
【おすすめ学習方法】
・フォニックス/ダイグラフ
・英音法
・オーバーラッピング
・ディクテーション
・シャドーイング(プロソディシャドーイング)
・音読(文章単位) など
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※フォニックス/ダイグラフ
英語のアルファベット(のかたまり)がどのような発音になるのかを学ぶ活動。スペルと音の繋がりを理解し、単語学習や音読学習などの効率を上げるために行う。
※英音法
文法に則って作られた文を「音」にするときに起こる変化について学ぶこと。リスニングで起こる「知っているのに聞き取れない」症状を改善するために音と文字との間に起こるズレを理解するための学習。
※オーバーラッピング
英語の流れる音声に合わせて、スクリプトを読みながら上から被せるようにして発生する練習方法。英語のリズム、抑揚、イントネーションと自分の英語の発声を近づけていくための学習方法。
※ディクテーション
流れてくる音声を聞き取り、そのスクリプト(の一部)を書き起こすこと。主に自分のリスニングの弱点が「知らないから聞き取れない」のか「知っているのに聞き取れない」のかを診断するために有効な学習方法。
※プロソディシャドーイング(B1以上推奨)
流れてくる音声のおよそ1秒ほど後に続いて、聞こえてきた音をイントネーションや抑揚、発音などに意識を集中させながら口に出していく練習方法。英音法で学んだ知識が無意識でも発揮される技術として定着するよう、「自動化」を促すための活動。

②意味理解
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【該当する人の症状】
☑︎短い英文ならなんとか聞き取れるが、長くなると途端に分からなくなる
☑︎一語一語の英単語は聞き取れるが、内容の理解が追いつかない など
【tips】
リスニングには「音を聞き取る+理解する」という二つのプロセスが必要です。
ここでは、音声知覚の「自動化」(意識しなくても処理を行えるようにする)のトレーニングによって、理解の処理にまわせる脳のワーキングメモリを増やし、聞き取った英語の「理解がすばやくできる状態」を目指します。
【おすすめ学習方法】
・長文読解(チャンク分け)
・サイトトランスレーション
・スラッシュリーディング
・リピーティング
・シャドーイング(コンテンツシャドーイング) など
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※サイトトランスレーション
英文を意味のかたまりごとに区切っていき、前から理解していく学習活動。英語の意味の切れ目やかたまり同士の関連性を理解していくスキルを磨くための活動。
※スラッシュリーディング
英文を意味のかたまりごとに区切っていき、前から英語の意味を理解しつつ音読をしていく練習方法。返り読みをせずに英語が流れてくる順番で英語の意味を理解していく思考習慣をつくっていくための学習方法。
※リピーティング
英語を一文単位で聞いた後に、聞こえてきた英文を思い出しながら口に出して再現していく練習方法。頭の中に留めておける英文の量(ワーキングメモリ)を増やし、処理できる情報の量を増やすための活動。
※コンテンツシャドーイング(B1以上推奨)
流れてくる音声のおよそ1秒ほど後に続いて、聞こえてきた音をどのような意味になるのかを意識しながら口に出していく練習方法。英語の英語の情報提示の順番が少ないワーキングメモリで理解していけるようにするために精読した英語表現の自動化を図る活動。

③概念化
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【該当する人の症状】
☑︎リスニング中はわかったつもりでも、後から詳細を思い出せない
☑︎英語を聞き取り、理解できるが、次のアクションに移れない など
【tips】
英語を聞き取り、理解できるようになっても、聞いた内容を短期記憶に残す余裕がないと、次のアクション(返答・意見の提示、問題解決)に移れません。
そこで負荷の高いトレーニングを続け、理解の自動化を促すことで、聞いた英語を「記憶にとどめておける」状態を目指します。
【おすすめ学習方法】
・リピーティング
・音読
・パタンプラクティス
・Q&A スピーキング(一問一答) など
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※Q&A スピーキング
事前に準備された質問集に次々と口頭で答えていく練習方法。質問された英文内の表現や単語を活用し、咄嗟に答えを返せる思考回路をつくっていくための活動。

④文章化
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【該当する人の症状】
☑︎英語を読み、聞くことはある程度できるが、スピーキング・ライティングは苦手
☑︎英語を話したり書いたりするときに、相手に正しく伝わらないことが多い など
【tips】
アウトプットスキル(話す・書くスキル)獲得のための学習の比重を増やしていきます。
これまで身につけた基本的な語彙や文法をベースに、シンプルな英語でいいので、ゆっくりでも「正確に話し、書くことができる」状態を目指します。
【おすすめ学習方法】
・多聴多読
・瞬間英作文
・ひとこと英語日記
・エッセイライティング など
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※瞬間英作文
表現したい短い事柄や提示された日本語に対して英語に直していく練習方法。日本語で提示されたり、思いついた内容を自分の表現可能な単語・文法領域へと変換したり、新たな使い方に気付いたりするための活動。
※ひとこと英語日記
その日あったできことについて口頭、もしくは筆記で短く英語でアウトプットしていく学習活動。身近な出来事について説明する際に必要な表現や語彙を身につけていくインプットの質を向上させるための活動。
※エッセイライティング
決められたテーマに沿って英語で自分の意見を書いていく学習活動。自分の意見を説明するために必要な英文法の使う方法を、アウトプットをしながら学ぶのと同時に、必要な表現や表現を身につけていくインプットの質を向上させるための活動。

⑤音声化
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【該当する人の症状】
☑︎辞書や文法書の助けを借り、時間をかければ言いたいことを英語にできる
☑︎正しい英語を話そうとすると、話し出すまでに時間がかかったり、流暢さが落ちてしまう など
【tips】
正確さを重視するとどうしても流暢さは薄れる傾向にあります。
ここでは、時間と量を意識したトレーニングで負荷をかけ、「流暢に話し、書くことができる状態」を目指します。
【おすすめ学習方法】
・多読多聴+サマライジング
・ピクチャーディスクライビング
・4/3/2 スピーキング
・ロールプレイング など
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※多読多聴+サマライジング
読んだり聞いたりした英語の内容について口頭、もしくは筆記で要約していく学習活動。同義語を使ったり、インプットした表現や単語をアウトプットへ繋げるための活動。
※ピクチャーディスクライビング
絵や写真を見ながらその説明を口頭でしていく学習活動。英語のコアイメージを意識しながらイメージをもとに英語理解を進めていくための活動。
※4/3/2 スピーキング
あるお題に対して、即興で4分話し、1分の推敲のあとで同じお題で3分話し、さらに1分の推敲のあとに同じお題で2分話す活動。より論理的な文章構成やそれに必要な接続詞などの使い方を練習するための学習。
※ロールプレイング
ある状況設定のもとでその人物になりきり英語で発話をする学習活動。ある英語表現がどのような状況のもとで活用できるのかを学びながら、インプットとアウトプットを繋げることで、英語で表現する際の瞬発力を鍛える活動。

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いかがだったでしょうか?
自分が現状どの位置にいて、どのような力を伸ばしていく必要があるのかを分かった上で、なぜその英語学習活動に取り組むのかを理解してれば、得られる成果は最大化されます。
一つ一つの学習活動には、それぞれの状況に合わせてより細かな学習調整が必要になってきますが、大枠としてはどんな活動に取り組めば良いか見当がついたのではないかと思います。
それでは最後の章で、これらの学習活動をサポートしてくれる教材を紹介していこうと思います。
第4章
1日1時間×90日間で成長を実感!
話せるようになりたいならこれを使え!
現時点で、以下のような状況が生まれているでしょうか?
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①目標が具体的な数値ではっきりと打ち出されている
・CEFR(CEFR-J)でどこのレベルに到達したいか?
・達成したい期限はいつか?
・学べき単語数はどれくらいか?
・一日に必要な学習時間はどれくらいか?
②英語を話せるようになるまでの道筋が理解できている
・発話までの5つのステップとは何か?
・座学ではどこが鍛えられるか?
・それぞれのステップでどんな情報の処理が行われるか?
③自分の現状のフェーズが把握できている
・自分の症状を照らし合わせたときに、どこのフェーズに課題を抱えているか?
・それらを克服するための学習方法は何か?
・設定した一日の勉強時間の中で取り組めるものはどれか?
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この3つがクリアできている状況であれば、あなたは今
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「目的地がはっきりしていて」
「地図を持っていて」
「現在地が分かっている」
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という状態です。
その間を結ぶ道中の強力なナビゲーターとして、ここでは「教材」をいくつかご紹介しようと思います。
先にお伝えしておきたいことは、英語の教材は星の数ほど存在していて、私も全てを把握しているわけではないということです。
毎月本屋に足繁く通い、専門書や問題集を品定めしたり、SNSで情報を集めたり、実際に自分で取り組んでみたりしながら、可能な限り集めた「情報」ですので、今後さらに良い教材が出てくる可能性もありますし、まだ私が知らない良質なものが埋まっている可能性もあります。
その上でのご紹介となりますので、ご理解いただけると幸いです。
また、教材は主にインプットの学習に使われるものが多く、アウトプットに関しては題材を提供してくれるものがメインですのでそちらもご承知おきください。
それではそれぞれの学習活動で使えそうな教材をご紹介していきます
語彙学習
【キクタン(TOEICレベル別)】

【でる順パス単(英検レベル別)】

【Distinction2000(中級者〜上級者向け)】

単語帳に関しては種類がたくさんあり、正直どれを選んでも学べる単語はさほど大きく変わりません。
ただし、一つだけ絶対に外せないポイントは
【音声がついているかどうか】
です。
これがないものは基本的には採用しない方がよいかと思います。
実際に英語を話したいと思っているのに、単語の発音が分からないとなると本末転倒だからですね。
ちなみにスマホアプリで単語を覚えたいという人にはmikanというアプリがおすすめです。
【英語勉強アプリ mikan】
文法学習(認知文法)
文法に関しては「認知文法」という見地を取り込んでいる文法書がおすすめです!
これはただ文法を丸暗記するだけの学び方ではなく、
「なぜそうなっているのか」
「どんな世界の切り取り方でその表現になっているか」
などを詳しく分析して説明が加わっているため、知識同士が結びつきやすく、応用も幅が広く実際の使用にも繋がりやすいためです。
【中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。】(初級者)

【英文法の鬼100則】(初級者〜中級者)

【一億人の英文法】(中級者〜上級者)

【English Grammar in Use】(上級者)

パターン・プラクティス
【英語のハノン】(初級者〜上級者)

パターンプラクティスを口頭で練習するための教材は英語のハノン一択です。
それほどまでに優れた教材になっています。
ただし、使われている単語や表現などはなかなかの難易度のため「初級」と謳われている書でもCEFRのA2かB1くらいの力を要すると思います。
英語を学び始めたばかりの方には、少し重い教材かと感じます。
音読(一文単位)
※先述した単語帳で例文が上がっているもの、なおかつ読み上げ音声がついているものを購入すると一文単位での音読もできるので一石二鳥です。
また、「英語のハノン」もリピートの練習が必ず付随するので、こちらも(少々難易度は高いですが)有効な教材になります。
フォニックス/ダイグラフ
【YouTube:あいうえおフォニックス(YouTube)】(初級者)
【英語の発音をもう一度ひとつひとつわかりやすく。】(初級者〜中級者)

英音法
英音法とは英語の文字を音にしたときに起こる変化のルールです。
こちらに関しては先述した
『英語のハノン初級』
『英語の発音をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』
で練習が可能です。
オーバーラッピング
オーバーラッピングに関しては英語の原稿とそれを読み上げる英語の音声があれば、どの教材でも可能です。
YouTubeなどにも動画と字幕がセットになったものもあるのでご自身の興味に合うものを探されると良いかと思いますが、いくつかチャンネルを紹介します。
【Gariben TV(YouTube)】
【Eigo No Sensei(YouTube)】
【TED(YouTube)】
ディクテーション
【ディクトレ(アプリ)】
【TEDICT LITE(アプリ)】
シャドーイング(プロソディ/コンテンツシャドーイング)
シャドーイングもテキストがしっかりとある資料であれば、なんでもOKですが、いくつか紹介しておきます。
【イングリッシュブートキャンプ(YouTube)】
【シャドーイング(アプリ)】
音読(文章単位)
こちらも様々な資料が教材となりえますが、一つアプリを紹介しておきます。
【Listenig English】
長文読解(チャンク分け)/サイトトランスレーション/
スラッシュリーディング/リピーティング
これらの活動は次のサイトで全てカバーすることができます。
もちろん、以下のサイトは他の学習活動に活用することもできます。
【デジタルキャスト】
多聴多読
YouTubeや英語の書籍など、自分のレベルに合ったものを選びましょう。
英語のニュースなどを読んだり聞いたりするのもいいかと思います。
以下のサイトではレベル別にニュースが紹介されています。
【News in Levels】
アプリもあるのでそちらも紹介します。
【English News in Levels(アプリ)】
瞬間英作文
【どんどん話すための瞬間英作文トレーニング】(初級者)

【スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング】(中級者用)

ひとこと英語日記
SNSなどに投稿することをお勧めします。
慣れてくると他の人と英語で交流したり、書いた日記を添削してもらえたりできます。
エッセイライティング
あるテーマに沿ってライティングをする練習ですが、お題を決めるのがめんどくさい人は「ライティング テーマ」と検索するとたくさん出てきますのでそこから選ぶと良いかと思います。
英検の過去問なども参考になりますので少しアカデミックなトピックで練習したい人はそちらを使うと良いかと思います。
ここでは、ライティングに大切な【フィードバック】をもらう教材を紹介します。
どちらもアカウントの作成が必要ですが、AIにとって英語の添削をしてもらうことが可能です。
今までは英語のライティングはフィードバックをもらう環境を作ることが何よりのボトルネックだったのでAIの進化でこのかべが超えられたことは英語学習者にとって非常に有益だと思います。
【Chat GPT(アプリ)】
【grammarly】
多読多聴+サマライジング/ピクチャーディスクライビング/
4/3/2 スピーキング/ロールプレイング
これらの学習は口頭で行うため、即時のフィードバックをもらうためには英語力のある誰か別のサポーターが必要になります。
現状、無料のサービスではこういったフィードバックをしてくれるようなものはまだ見つかっていません。
やはり最終的なアウトプットの段階に入ったときは、誰かサポーターがいてくれると心強いでしょう。
終わりに…
ここまでそれぞれの学習に必要な教材を説明してきましたが、もちろん、探せばこういった教材は山ほどあります。
自分で「これがいい!」と選べる人はいいのですが、もしどれにしようか迷われて選べない方がいれば、参考にしてみてください。
この記事をお読みになられて、まだご自身の問題が解決されていない方や、自分では学習方法や教材を選びきれない方、新たな疑問が生じた方がいれば、個人的にご相談をいただくことも可能です。
一回限りにはなりますが、無料コーチングを行なっておりますので、ご興味がある方は以下のLINEからご連絡ください↓↓↓
『無料相談』と送っていただければ日程の調整をさせていただきます。
ここまで長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!
繰り返しになりますが、英語の学習には時間と根気と戦略が必要です。
ただし、英語を身につけること自体がゴールである人は少なく、ほとんどはその先にある理想の人生を叶えることがゴールです。
だからこそ、その通過点にすぎない英語の学習に時間を取られすぎることなく、最短距離で目標を達成することで、その先の理想を1日も早く掴み取って欲しいと思います。
拙い記事でしたが、お役に立てれば幸せです。
あなたの英語学習が成功し、理想や目標が叶うことを心から応援しております。
それでは、失礼いたします。
Ryo